南アフリカに想いを馳せつつ・・・南ア盤入手の巻
こんにちは!
突然ですが、皆さんは南アフリカに行ったことはあるだろうか?
私はまだない。いつか行ってみたい候補にちょっとだけ入れている。
南アフリカで知ってることっていうと、喜望峰と、あとは子供の頃に習ったアパルトヘイト。差別問題。マンデラさん。そして「ゴルゴ13」でたまに舞台になることくらいだ。
ゴルゴで見る限りはあんまり行きたくないな…と思うが…いざ行くとしてもなかなかそんな機会がない。
さて、前置きが長くなったが、本日はそんな欲求をレコードで叶えちゃおうという、「行った気になる」巡礼シリーズである。
今日取り上げるのは南アフリカ盤のビートルズ「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」だ。ビートルズの大名作の、南アフリカ盤。ぶっちゃけ、興味あるでしょ、これ。
南アフリカ盤、については実はこの方のブログを見て常々興味を持っておりました。
※ブログに引用ポリシー等の記載がなく、コメント欄を始めとした通信手段がないため、大変恐縮ですが勝手にご紹介させていただきます。
ブログに曰く「ビートルズ初期〜中期までの南ア盤は音が素晴らしい」とのことで、読後延々と気にな放っていた。ところが、なかなか南アフリカ盤ってのは店頭に並ぶことはない…ご紹介したブログでは「e-Bay」等に出店している海外セラーからご購入されているとのことだが、私は英語も苦手なのでそこまでは…と躊躇していた次第。
そんな折、たまたま組合のビートルズセールで南アフリカ盤、それもステレオ盤を発見!
あ〜、見つけちゃった、ってやつね。
掘ったらね、出てきちゃったのよ、たまたま。
しかし、各国盤ってのは値付けと品のバランスが大変に難しい。有名盤のUKオリとかならある程度の相場観を持っているのだが、南ア盤の相場って…わからん!と。
個人的には1万くらいかな?と勝手に思っていたら、組合では驚きの1.5万円くらい。ちょっと腰が引けたが…物は試しということで、人身御供の精神?で購入した次第。
では早速みていこう。
なんか枯れた?色味のSgt南ア盤ジャケット
はい、こちらが南ア盤のジャケット。
UKオリともそんなに変化はない。ジャケ上部真ん中に大きく「STEREO」記載があります。色味が若干砂がかった南ア独特の褪色を…とか書こうと思ったが、よくよく考えると単なる経年による色褪せの気もする。南ア盤、ってことですでにプラシーボ入っているのかも。
こちらは裏ジャケ。
UKオリジナルではゲートフォールドジャケット(二つ折りの見開きジャケット)だが、南ア盤はシンプルなシングルジャケット。
ちょうどポールの後ろ姿、最下段あたりに「The Association of the Southern African Phonographic Industry」の記載。南ア盤であることの証左として良いだろう。
ちなみに組合の値札には「南アフリカ盤オリジナル」と表記がされていた。もう、それを持ってオリジナルだと言い切っちゃっていいんじゃないかと思う。
すいません、南ア盤の判別の仕方が全く分かりませんので、ユニオン値札で判断します(笑)
マトが、あれ?A面機械打ちでB面手書き…
続いてはレーベル面。
まずはA面。いわゆる?「黒銀」パーロフォンだ。アトランティック盤やチェス盤の初期を思わせるデザイン。レコマニアが狂喜する配色の一つである
(金パロ・黄パロ・1EMI・2EMI、からの、他のレーベルだと黒銀・レッドプラム・PINK-i…いろいろあるもんだな、と。www)
でもやっぱりこのレーベル配色、なんか南アっぽくないですか?ブラックダイヤモンド的な・・・(妄想)
続いてマトリクスへ。
たいへん見にくくて恐縮である。A面のマトリクスは[YEX631-1]、これはUKオリジと同じマト。スタンパーは片側の「3」は判別できたが、いわゆるグラモフォンコード部分は打たれたあとが見つからなかった。
ここから判断するに、おそらくこのA面はUKスタンパーの流用かと考えられる。
さて、問題はB面だ。
ラベルはA面同様「黒銀」だが、デッドワックス部分が手書きで[YEX638 / 1]と打たれている。(ちなみにUKオリジナル盤はA面同様機械打ちマト[YEX638-1]が初期マト。)
うまく撮影できなかったのだが、デッドワックス部分には規格番号をあらわす[PCSJ7027]、そして謎の刻印 [B.S.]、これらもマトリクス番号同様手書きでなされている。これはもしかしたら南ア盤オリジナルカット!?高まる期待。インド真空管カットのような大胆な音になっているかも。
いよいよ聴き比べ!UKオリジナルのステレオ盤(3桁スタンパー)と比較
肝心の音だが、今回はUKオリジナルの黄パロ3桁スタンパーと比較することにする。
なんでかって?UKオリステレオ盤はこれしか持ってないからだwご容赦いただきたい。
先攻:南アフリカ盤オリジナル ステレオ
まずは先行・南ア盤。A①のタイトル曲からズシズシくる。
ギターの歪み、ベースの鳴り、ドラムのキック、いずれも及第点。ここら辺はやはり、UKスタンパーそのままのプレスなので、悪いはずがない。
続いて気になるB面、まずはB①。シタールがオリエンタルに響くところ。
むむっ、ちょっとサラウンド感が薄いかな、、、インド盤に見られるような弦楽器偏重の傾向はないようだ。曲が進んでもバランスよく各音が鳴っている。
ただ、全体的に押し出しが弱い…音圧はあまり感じない。A面よりも少し曇った?靄かかった印象だ。音質はクリアなのだが、なんかこう「もう一歩前に出てくれ!」という気分だ。
とてもまとまってていい音なんだが、イマイチなにか足りない印象である。
後攻:UKオリジナル盤ステレオ(3桁スタンパー)
確認の意味で次はUKオリ(黄パロ)。
うーん、A面B面とも明らかに弾け方が段違いだ!
初めに南ア聞いた際には「なかなかいいじゃん!」と太鼓判押したのだが、次にこのUKオリ盤を聞いてしまうともう、、なんというか南ア盤が「悪くはないが及ばない」と、こういう印象だ。
UKオリ、スタンパー3桁でもすさまじいな・・・
まとめ:南ア盤の音は「ちょっと眠い」
さて、南ア盤サージェントだが、最終的に「音が眠い」というのが正直なところ。
寝起き感というか、「あとちょっと元気出そうか」という音の感じだ。
すべて及第点でまとめてしまったがゆえに面白みというか音楽全体の楽しさみたいなものが乏しくなってしまっているな、と。
例えばドイツDMMカット。やたらベースがブンブンいうような突出した特徴はもちろん良し悪しだ。ただ、間違いなく勢い、元気はある。そういう特徴づけが薄いのが南ア盤サージェントである。
せっかくの南ア盤なんだから、「南アらしさ」をカッティングでも見せてほしかったなぁ…というのが正直なところ。もちろん、原版に忠実にカットしようとした結果だと思うので、好感は持てる。ただ私が望んでるものがちょっと違った。期待感が大きかったが故に残念である。
最後に一言付け加えると、眠いとは書いたが、それでもこの盤、オリジナルを聞いてないのであれば及第点以上だとは思う。ただ、これで1.5万円は高いな・・・
<総評>
音作りの丁寧さ:★★★★☆
音圧:★★★☆☆(2.5)
低音:★★★☆☆
高音:★★★☆☆
音の分離:★★★☆☆
ご当地感:★★★☆☆(ジャケの色と黒銀ラベルは多分に南アを感じさせてくれた!)
合計:18.5点(35点満点)
初期作品を次は狙いたい…
音はやはりUKオリジナルと比較すると若干の物足りなさは感じたが、比較しなきゃ及第点以上のいい音、ではあった。
冒頭にご紹介したブログによると、「初期~中期がとてもよい」と記載してあった。本作「サージェントペパーズ」は中期、ないし後期、作品かな?ということはこれよりも前の作品の南ア盤はかなりいい音が鳴るんじゃないだろうか⁉と思う。
今後も見つけ次第捕獲、の方針を堅持したい(懲りないやつだ)。
ご一読、ありがとうございました。
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