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Sade / Lovers Rock: アナログレコードで心に響く音楽

Disk Review

Sade(シャーデー)のLovers Rockは、秋の夜にぴったりのアルバムだ。

Sadeの柔らかなサウンドは、静かな夜にリラックスするのに最適で、心地よいメロディと深い歌詞が特徴だ。

このアルバムは、愛や喪失、再生をテーマにしており、秋の涼しい夜風を感じながら聴くと、その魅力が一層引き立つ。




Sadeの魅力

Sadeは1984年にデビューしたイギリスのバンドで、ジャズやソウルを基調にカリビアンなエッセンスを加えた独自の音楽性で多くのヒット曲を生み出してきた。

ボーカルのSade Aduは、その優雅で艶やかな歌声とミステリアスな存在感でファンを魅了し続けている。

Sade Adu。Wikipediaより引用。出身はナイジェリア

音楽的側面と特徴

Sadeの音楽は、ジャズやソウルにカリビアンな要素を加えた独自のスタイルが特徴だ。その洗練されたサウンドは時代を超えて愛され、多くのアーティストに影響を与えている。彼らの音楽には深い感情表現と詩的な美しさがあり、それが多くの人々に共鳴し続けている。

最もヒットした曲

Sadeの代表的なヒット曲としてはやはり「Smooth Operator」だろう。

この曲は1984年にリリースされ、大ヒットとなり彼らの名声を確立した。洗練されたサウンドとSade Aduの魅惑的なボーカルが印象深い一曲で、ゆったりとしたラテンビートとムーディーな旋律が特徴的だ。

Lovers Rockの特徴

「Lovers Rock」は、Sadeの音楽的進化を示す重要な作品だ。このアルバムの特徴は以下の通りだ:

  1. 音楽スタイルの進化: アコースティックギターやダブパーカッションなど、新しい楽器の要素が取り入れられている。これは、従来のジャズやソウルの要素に加えて、レゲエの影響をより強く感じさせる特徴だ。
  2. より親密な雰囲気: タイトルが示すように、より柔らかく、ロマンティックな雰囲気を持っている。レゲエのサブジャンルである「ラヴァーズロック」、ここからインスピレーションを得ていると思われる。
  3. 個人的な歌詞: 歌詞はより個人的で内省的な内容になっている。Sade Aduの結婚や出産などの個人的な経験が反映されているとされている。
  4. シンプルさへの回帰: 前作「Love Deluxe」と比べると、より削ぎ落とされた、シンプルなサウンドを特徴としている。
  5. 時代を超越した質: 2000年にリリースされたにもかかわらず、当時の主流のポップミュージックとは一線を画し、より普遍的で時代を超越したサウンドを持っている。いまでも私の周りでは本作をSadeの最高傑作に挙げる人が多い

2000年の音楽的時代背景とトレンド

2000年代初頭は、音楽業界がデジタル化への移行期であり、CDからMP3への転換が進んでいた。この時期にはポップスが再び主流となり、ブリトニー・スピアーズやエミネム、ビヨンセなどがチャートを席巻していた。また、インターネットによる音楽配信が普及し始め、Napsterなどのファイル共有サービスが登場し、音楽消費方法にも変革が起こった。

「Lovers Rock」が発売された2000年には、多くの有名アルバムもリリースされた。

  • U2 – 「All That You Can’t Leave Behind」
  • Linkin Park – 「Hybrid Theory」
  • Radiohead – 「Kid A」

これらのアルバムもそれぞれ異なるジャンルで大きな影響力を持ち、その年の音楽シーンを彩った。「Lovers Rock」はその中でも独自性と普遍性を兼ね備えた作品として特別な位置づけとなっている。

ファンの反応

ファンからも非常に高い評価を受けており、「Lovers Rock」は発売当初から多くの支持者を得た。特に、「By Your Side」や「King of Sorrow」はファンのお気に入りとなり、多くの人々に愛され続けている。ファンからは「心に響く」「人生のサウンドトラック」といった声も多く寄せられている。1

最近の活動

Sadeは現在、新しいアルバムを制作中と噂されており、フランス南東部プロヴァンス地方にあるミラヴァル・スタジオでレコーディングを行っている2。彼らは商品としてではなく創作意欲を重視した音楽制作を続けており、「納得できる仕上がりになれば発表する」とコメントしている。また、2018年には映画『リンクル・イン・タイム用に新曲「フラワー・オブ・ザ・ユニバース」を提供している。

アルバム「Lovers Rock」の魅力

2000年にリリースされたLovers Rockは、8年ぶりの新作として注目を集めた。この作品は、第44回グラミー賞「最優秀ポップ・ボーカル・アルバム」を受賞し、愛や喪失をテーマにした繊細な楽曲が特徴だ。Sadeならではの詩的な歌詞とメロディが融合し、聴く者を音楽の旅へと誘う。

収録曲一覧

Spotifyのプレイリストをリンクしておくので是非とも聞いてみてほしい。

影響を受けたアーティスト

Sadeはその独特なスタイルで多くのアーティストに影響を与えてきた。アリシア・キーズなど、多くのアーティストがSadeからインスピレーションを受けており、そのエレガントで自然体な音楽性は彼女たちにも大きな影響を及ぼしている。

また、キャンディス・スプリングスもSadeへの敬意から「Pearls」をカバーするなど、その影響力は計り知れない。

アナログレコードで聞く「Lovers Rock」

Lovers Rockのアナログレコードは、その音質やアートワークが特に魅力的だ。

大きなジャケットサイズによってアートワークがより鮮明に楽しめるため、視覚的にも満足できる。

私の所有する盤はEUプレス。裏ジャケットからUKプレスであろうかと思う。

マトリクスについてはどうにもうまく写真が取れなかったが、[500766-1000 -1A1- NAWEED@SONY W.S.S.]がA面。Discog調べによると本作はUKプレスのみが2000年にあり、その後2010年、2024年にいずれもEUプレスで再発がされているようだ。私が所有しているのは2000年プレスのオリジナルである。コロナ禍以前に1万円ほどで中古購入した。

さて、肝心の音の方だが、アナログならではの温かみある音質も相まって、このアルバムをより深く味わうことができる。普段は移動中にサブスクで聞くことも多いのでそれとの比較となるが、特に低音域や中音域が豊かで、Sadeのボーカルや楽器一つひとつがより生々しく響く。ノイズも含めてその場にいるような臨場感があり、このアルバムとのマッチングも絶妙だ。特にB面1曲目「The Sweetest Gift」が臨場感という意味では顕著。アコースティックギターとボーカルのみで演奏されるこの曲は、ボーカルの美しいメロディを包み込むアコギの柔らかな響きが美しく、レコードでこその音、と感じさせてくれる。

アナログレコード特有の温かみあるサウンドはSadeのソウルフルな音楽性と相性抜群であり、その結果として聴覚だけでなく心にも深く響く体験となる。このアルバムこそアナログで聴くことで、新たな発見や感動が得られるだろう。音楽評論家からも「エモーショナルで豊かなサウンド」と評されることも多い本作、レコードで聴くことで初めて気づく細部やニュアンスも存在する。

まとめ

「Lovers Rock」はただのアルバムではなく、一つひとつのトラックが心に残る物語となっている。Sade Adu の透き通るような声と緻密なサウンドプロダクションによって描かれる情景は、聴く者すべてに深い感動と思索を促す。愛や喪失という普遍的テーマは、多忙な日常から一瞬離れ、自分自身と向き合う時間へと導いてくれる。

この秋、一枚のレコードから流れ出すメロディーによって心温まる瞬間や切ない思い出へと思い馳せることのできる「Lovers Rock」。その美しいサウンドスケープには、人々の日常生活に寄り添う力があります。このアルバムとの出会いによって、新たな感情や思考が芽生えること間違いなしだ。

  1. https://albumism.com/features/sade-lovers-rock-turns-20-anniversary-retrospective ↩︎
  2. https://g2j-entertainment.com/post-4996/ ↩︎

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