前回のビートルズ同様、またディスクユニオンの買取価格表を元に買取価格の推移を見ていきたいと思う。
今回はプログレとクラシック・ロックだ。
取り上げる盤は比較的高額取引されている有名盤でいきたいと思う。いわゆる「ロックの名盤」「殿堂入り」と言われるような作品だ。
加えて今回は前に紹介した最新のプライスリスト(2024年8月)に記載のある盤をメインに扱ってみたいと思う。
以前も記載したが、プライスリスト発行の度に毎回同じ盤が出てくるわけではない点にご留意いただきたい。記載のない時は「ー」表記としている。
なお、これまでの記事を読んでいない方はこちらもぜひご一読いただきたい。
では早速見ていこう。
King Crimson / In the Court of the Crimson King
- 19年冬:¥70,000
- 20年春:ー
- 23年夏:¥80,000(前回比:114.3%)
- 23年冬:¥80,000
- 24年春:ー
- 24年夏:¥80,000
まずはプログレ御三家、クリムゾンの代表作。このMAT2/2盤は高値安定の一枚だ。
私も本作、このスペックと同じものを所有している。コロナ禍前にユニオンのセールで購入したが、その時に価格は¥98,000(コンディション:EX-)。買取価格同様の値上げ幅なら11万円前後、コンディションによっては15万くらいが現在のセールス価格としては妥当なところか。
ちなみに私は本作のMAT1/1盤も聞いたことがある。とある試聴会に好事家の方が自己所有のマト1盤を持ってきてくれた。せっかくなんで購入価格を聞いたところ「100万ちょい」とのご回答。そもそもマト1盤は近年までその存在すら疑われていた盤だが、現物を目の当たりにしてしまったので都市伝説は本当だった。購入は当然コロナ禍前だったので、今ならとんでもないお値段がつくことだろう。なお、マト1の音はマト2に比べて極めてシャープで尖った、パワフルなミックスであった。正直聴き疲れを起こしそうな気がした。やはりミックスし直したのには訳があるのだな、とその時改めて感じたことを記憶している。
THE VELVET UNDERGROUND / THE VELVET UNDERGROUND & NICO
- 19年冬:ー
- 20年春:¥130,000
- 23年夏:¥150,000(前回比:115%)
- 23年冬:¥250,000(※青銀MGMリム 前回比:166.7%)
- 24年春:¥250,000
- 24年夏:¥300,000(前回比:120%、20年春比:231%)
ロックUSオリジナル盤の代名詞的存在の本作、通常バナナジャケ。その値段はうなぎ登り、コロナ前比でおおよそ2.3倍の買取価格となっている。
ただし、本作についてはご存知の通り、盤もさることながらジャケットのコンディションがかなり重要視されていると感じる。買取値も設定は30万だが、コンディション次第でかなりの下値幅があるのではないだろうか。兎にも角にも表面についたバナナの皮ステッカー、これが残っているか否かがまずは重要な価格決定ポイント。私も売り場で何度もこのバナナの皮シールの状態違いによる販売価格の違いを見てきた。まずシールが完全に外れているものはシール付きよりも値は下がる。シール付きでもそのシールが破けているものや、皺のより方の度合いによっても値付けは様々だ。さすがウォーホル、中身の音もさることながら、アート側面での価値をちゃんと評価しろよと言われている感じがしなくもない。
プライスリスト更新時にはほぼ毎回掲載されている点でも、常にお店・市場からトップウォントされているものであることには違いない。私はリイシュー盤のステレオバージョンでしか所有していないが、いつかMONOで聞いてみたいものだ。
PINK FLOYD / DARK SIDE OF THE MOON
- 19年冬:ー
- 20年春:ー
- 23年夏:¥100,000
- 23年冬:¥100,000
- 24年春:ー
- 24年夏:¥100,000(前回比:100%)
プログレ屈指の一枚にしておそらく史上最長のチャートイン記録をもつピンク・フロイドの名作「狂気」。こちらは残念ながらコロナ禍以前の買取価格記載がなかったので直近のものだけになる。
価格は安定しているが、厄介なのが「付属完品」というオプション。ポスター2枚とポストカード2枚がしっかり揃っている前提での買取価格だ。
とはいえ店頭やセール情報をみている限り、売値もそこまで上下はしていない気がする。本盤は私も所有しており、付属品に欠けがあるが2018年ごろ68,000円でEXコンディションの購入ができた。個人的には付属品には興味がなく、ただひたすら盤のコンディションのみにこだわるスタイルなのでかなりお得な買い物だった。
なお、音については正直「別次元」で良い、と思う。もはや圧倒的な音圧、素晴らしき音世界。めくるめく曼荼羅、宇宙だ。私はこれまでもビル・エヴァンスはじめ色々なオリジナル盤聴き比べをしてきたが、オリジナル盤とその他盤の違いがここまで顕著な作品はないのではないか?と思う。音空間の透明度、質感が全く違う。SACDなんかでは全く届かない、孤高の次元にある。本作が好きな方はちょっとお高いがこの作品だけはオリジナルのマト2ソリッド・ブルーラベル盤でご購入することをお勧めしたい。
なお、ピンク・フロイドの本作以外の聴き比べは以前記事にもしているのでご興味あればぜひご参照いただきたい。
LED ZEPPELIN / LED ZEPPELIN (Turquoise)
- 19年冬:¥180,000
- 20年春:¥170,000(前回比:94.4%)
- 23年夏:ー
- 23年冬:¥220,000(前回比:129.4%、19年冬比:122.2%)
- 24年春:ー
- 24年夏:ー
24年夏の最新リストには記載がないのだが、クラシックロックの高額盤の代名詞ともいうべきこのターコイズのゼッペリンは記載しておきたくて取り上げた。
価格自体はそこまで値上がりしているようには感じない。そもそも最近はユニオンはじめ各店舗のレア盤セールでもほとんど見かけることがなくなった。元々、2000枚ほどしかプレスされてない説、があるのでそれに従えば毎年のように各店でセールで出ていたのが不思議なのだが…。
ちなみに私はコロナ禍の21年ごろに購入、コンディションEXで198,000円だった。ジャケット・盤とも大きな瑕疵はなく、レーベル面に落書き(購入者の名前?)がちょこっと書いてあるだけ。買取価格が22万を超えているということは、おそらくこちらも25〜30万くらいで市場取引されるのであろうか。
この無修正MAT1/1の音に関しては、修正マト、USオリジナルとの三つ巴比較を以前実施している。こちらの記事をぜひご参照いただきたい。
YES / FRAGILE
- 19年冬:ー
- 20年春:¥12,000
- 23年夏:¥20,000(前回比:166.7%)
- 23年冬:¥20,000
- 24年春:ー
- 24年夏:¥20,000
キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、ときたらプログレ御三家の一つ、イエスも取り上げなければなるまい。イエスの場合はこの「Fragile」と「Close to the Edge」、どちらを取り上げるか迷ったが、プライシングがまめに載っている方ということで「Fragile」を取り上げた。
価格はコロナ前〜コロナ禍にかけて一気に1.6倍ほどになったが、その後は価格が落ち着いている。私も本盤は所有しているが、確かコロナ禍前後で購入、15,000円(EX)だったと記憶している。もちろん程度さもあるのだろうが現在の販売価格なら高コンディションで20,000〜25,000円くらいが妥当かと思う。
余談だが本作の1番の見せ場は個人的には「Heart Of Sunrise」だ。まだプログレに興味がなかった10代の頃、ヴィンセント・ギャロの映画「バッファロー66」で知った。クライマックスの狂気じみたシーンで印象的に使われていて物凄くカッコよかった。この曲がイエスを知ったきっかけだ。
まとめと雑感
以上、プログレとクラシックロックについての価格推移をまとめてみた。
クラシックロックに関しては、もっともっと取り上げるべきかとも思うのだが、いかんせんリスト各号に載っているタイトルが違うため、時系列で価格推移を図ることができない。また例えばデヴィッド・ボウイ「Ziggy Stardust」などが好例だが、過去リストと最新リストで値段の変化がないものも結構ある。価格推移を見るのがコンセプトなのでそれらは割愛させてもらった。最新リストの買取価格から上下がほぼない、とみてもらって良い。
次回はオルタナ・近年盤に行きたいと思う。実はこのジャンルが一番価格の推移が激しいように感じている。
ではまた次回。
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