はじめまして、隷好堂ご挨拶
どうも、はじめまして。隷好堂です。
名は体を現す、「隷」属・「好」事家・「堂」をくっつけて「レコード」=れいこうどう。
毎週末レコ屋に行かないと落ち着かない40代のヴァイナルジャンキー。小さな頃からロックとブルーズにガッツリはまり。ギター弾きのバンドマンでパンクやグランジなどの洗礼も受け、就職してからはジャズの魅力に取りつかれ、そのままオーディオにのめり込み、今は良音を探してクラシックまで。
これまでは「note」に記事をUPしていたが、ようやく念願叶い(重い腰をあげて)オリジナルドメインでブログを開始することにした。これまでの記事ももったいないのでこちらに移植しつつ、新しいものも織り交ぜながら続けていきたいと思う。
で、早速。noteでも約1万アクセスあった人気記事、今日はレコード洗浄について。
超音波洗浄機を使ったレコード洗浄
レコード好きにとってレコードの洗浄というのは避けて通れないもの、なんだけど、やはりめんどくさい。チリパチノイズは時代の味、海外では「スパイス」って呼ぶ輩もいるくらいだが、やはり耳障りに聞こえるときもよくある。
さて、試行錯誤すること数年、ようやく、なんとなくこの方法が一番手間がかからず、時間も短くて済むという方法にたどり着いたので、他の同好の士の皆さんの参考になるかも?という気持ちで以下に書き記すことにする。
※なお、この方法は超音波洗浄機を使用する。レコ好きが高じて一昨年にアマゾンで超音波洗浄機を購入してしまった。確か4万円弱だったと思うが現在は多少値上がりしているようだ。興味のある方はぜひAmazonで探してみてほしい。
レコード洗浄の準備(道具)
<<準備物>>
準備物は超音波洗浄機に加え、上の写真のもの。
- 水の【激落ちくん】(薬局で500円くらい)
- 富士フィルムの「ドライウェル」(※アマゾンでは取り扱いがなくなってしまった。ヨドバシカメラなどカメラ用品を取り扱っているところであれば普通に入手可能)
- キムワイプ(理科実験器具とかを拭くペーパー。このサイズでアマゾンで300円くらい)
- ターンテーブルマット(なんでもよし。私はDiskUnionさんのメンバーシップポイントで貰ったコルクのやつを使ってます。)
- (もしあれば)ターンテーブルマットを回転できるもの(なくてもよし。私はTV回転台を代用してます。直径は30cm以上ほしい。ちなみに普段ご愛用のレコードプレーヤーの上でやるのもありですが、、、液体をふるのでちょっと怖い)
- ナガオカ アルジャントウェット(これ重要。盤面の洗いはこれで行う。こちらもAMAZONでは手に入りにくくなっているようなのでナガオカ公式サイトなどで購入のほうが良いかと思う)
はい、準備完了。
洗浄の手順
順序は洗濯機と同じ。【洗い】→【すすぎ】→【脱水・乾燥】の手順。
①【洗い】ターンテーブルシートの上に洗浄するレコをおいて、水の激落ちくんをまんべんなくふりかける。
②【洗い】激落ちくんをアルジャントでまんべんなく伸ばす。
多少こするような動きをしたほうがいいかもしれない。
↑このように多少なりホコリが付着。本来ならば激落ちくんを吹きかける前に乾式ブラシやなんかでホコリを掃き出すほうがいいのだろうが、ウェットでも十分とれる&どうせこのあと超音波洗浄機に放り込むので割愛。なるべく手間は省きたい。
③【洗い】アルジャントでまんべんなく液体を伸ばして盤全体を2~3周したら、ためらわずにひっくり返して裏面も同様に吹きかけ・のばし、を行います。
④【洗い】両面やったら数分放置(ここポイント)。
激落ちくん成分が染み込むのを待つ。特に生産されて経年しているものほど、レコードの表面はなにかしらの悪しき物質に汚染されている?事が多く、染み込むまでに時間が必要に感じている(極めて定性的)、大体目分量(体感)でいいかな?と思ったら超音波洗浄機にイン。
⑥【すすぎ】超音波洗浄機に水道水(蛇口に浄水機能があればそれを)を満たします。
あらかじめ温度設定ができれば38度くらいまで温める。「そこはやはり蒸留水じゃないの」とか「精製水のほうが…」というご意見はごもっとも。ただ、私の場合大量にレコードがあるんです。1回洗うのに必要な水量が6L。この6Lで洗える量は20枚が限界である。これ以上は水が汚れて我慢できません。全部精製水で対応するのはコストパフォーマンスが悪すぎます。ですので、諦めて水道水ですw岩手のジャズ喫茶ベイシー菅原さんいわく「モノには限度、フロには温度」であります。割り切りも大事!と思ってます。
さて話を戻して、水道水を注いだ超音波洗浄機にはドライウェルを数滴いれておきます。私は薬局で100円で買ったスポイトで2回ほど入れておりますが、ま、数滴でいいと思います。
なおドライウェルを入れる意味だが、このドライウェルは界面活性剤なのである。
で、界面活性剤ってなんなの?というと、こちらの詳しい説明をぜひ参照されたい。
花王 | 製品Q&A | 【成分・働き】界面活性剤とは?『【成分・働き】界面活性剤とは?』についての回答を紹介しています。www.kao.com
さすが花王。わかりやすい。
要は盤面の溝により水分が入り込んで汚れ落とししやすくする効果がある、とこういうことなんだと思う。
はい、ということで、超音波洗浄機に界面活性剤をいれ、温度がMAX38度になるまで待ち、レコードを入れていざ超音波スタート!
はじめは界面活性剤が混ざり合ってまるで洗剤を垂らしたかのように多少泡立つが、5分もすれば収まってきますんで大丈夫。ほっといてOK。ものすごく泡立つようならドライウェル入れすぎ。水で埋めましょう。
洗浄時間は私は10〜15分でいいかな、と。それ以上やればもちろんより多くの汚れが落ちるかもしれないが、それほどの違いは無いように感じる。あくまで超音波洗浄は洗濯機でいうところの「すすぎ」の役割。超音波でふるい落とされる塵埃の数々・・・洗浄機にだんだんホコリが浮いてくると、超音波スゲーっってのを体感できるかと思う。
さて、前段のアルジャントが「洗い」→超音波洗浄機で「すすぎ」、ときたので、最後に脱水(=乾燥)。
⑦【脱水・乾燥】水切り・拭き取り
まず超音波洗浄機から取り出して、レコード専用のスタンド(なければ皿立てでもいいとか)において放置します。スタンドの下に布を敷いておくとよいですね。
で、ある程度水分がなくなったら、最後にキムワイプで残った水滴を拭き取り。全部拭き取ったら、またスタンドに戻して最低30分は乾かす。ここの乾かし時間は重要である。乾燥が不十分のまま収納すると当然カビなどの原因になるので細心の注意を払うべし。
以上。
他の洗浄方法との比較
この洗浄方法、やはり超音波洗浄機を用いているので効果は段違いだと思う。
特にレコードの溝奥深くにこびりついているであろう塵芥の類を水と音波で掻き出してる感が半端ない。なぜか砂埃まみれのブルーズの古いレコードやタバコヤニに燻されたであろうロックのレコードなどには効果てきめんと感じている。
以下は上記の方法ではない手段でレコード洗浄した場合のわたしの個人的感想である。
- 超音波洗浄機に入れただけの場合
- ドライウェルなし、でもある程度効果はあったが、レコードの材質の問題なのか、表面で水を弾いてしまう盤も散見された。やはりドライウェルは無いよりもあったほうがいい
- レコクリン&レコクロスで磨いた場合
- 表面的な塵埃はとれるが、針を落としたときに奥底で眠っているチリパチを取るには至らず。ある程度の効果はあるが劣悪な環境で過ごしてきたであろうレコを救い出すには心もとない
- 激落ちくん&デンターシステマ歯ブラシで盤面を磨き、更にレコクリン&クロスした場合
- デンターシステマは試すのが怖かったが以外に目視で盤面に傷などはつかず。ただいかにデンターシステマくんであっても溝の奥底にブラシが行き届いているのか?は正直謎である。あと激落ちくんとレコクリンをダブル使いする意味はあるのか?謎。
- ドライブラッシング&静電気防止ブラシ
- ウェットクリーニングをせずに専用の乾式ブラシで盤面をブラッシングしホコリを掻き出し、それを静電気除去ブラシでさらにブラッシングする方法は、正直「何もしないよりはいいんじゃない?」レベルかと思う。いわゆる気休め。この方法は特に再発盤やリプレス盤などのいわゆる「新品」の場合は特によろしく無いと思う。というのも、最近のプレス盤で新品未使用などはレコードプレス時に使うスタンパーからの「剥離剤」が表面に残っていることも多く、静電気を発しやすい質のものも多い。その場合はなおさらレコクリン&レコクロスでその剥離剤除去のためのウェットクリーニングをおすすめしたい。
ということで、超音波洗浄機がある方はぜひお試しください。
まとめ
いかがだったであろうか。
レコードのチリパチノイズとの戦い、これは愛好家にとっては永遠の課題である。
様々な方法があり、もちろん「これが絶対」という方法は無いと思う。
今回ご紹介した超音波洗浄機の使用は、あくまで一例、ではある。が私が人身御供となって購入し、体験した限りでは、他の洗浄方法よりも格段に優れていると感じている。
もし気になっている方がいらっしゃれば、「大丈夫、この機会はちゃんと作動しますし、役立ちます」と心からお伝えしたい。
最後に、無い方は以下の動画の汚れの落とし方をご参照いただき、洗いの部分を「水の激落ちくん」に変えてみるとより劇的にチリぱちノイズが減ると思います。ご参照ください。(ただ、長い目で見ると&レコード枚数が膨大にある場合は超音波洗浄機は大変楽ですw)
<関連記事>
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