これが噂の「STILのヌヴー」
ヴァイオリンの音色っていいよね。
私の中で世界三大ヴァイオリン協奏曲といえば「チャイコフスキー」「シベリウス」「ブラームス」である。
…いや、ベートーヴェンもメンデルスゾーンも、バッハもあるじゃないか?
そう、その通り。世界三大は言いすぎた、私の好きな順でTOP3に訂正。ターンテーブルに乗せる回数が多いのは上記の3つである。
特に私はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が大好きすぎて、迷いに迷っていまだに自分の中でのベストワンはこれ!!と決めきれていない。迷える子羊状態である。
さて、チャイコフスキーは置いといて。
先日ひょんなことからオーオタやクラオタ界隈で名高いヌヴーの、ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」のライブ海賊音源をディスクユニオンで手に入れた。
通称;STILのヌヴー(私が勝手に名付けた) /Ginette Neveu / Hans Schmidt-Isserstedt /L’orchestre symphonique de Radio Hambourg Johannes Brahms [Concerto en re majeur pour violin et orchestre ] 規格番号:STIL0305 SAN48
同盤は元々レコードでリリースもされていて結構市場でも出会う回数が多いのだが、さまざまな文献や動画を漁っていくと、どうもレコードよりもCDの音質が大変素晴らしく、「このSTIL盤CDでトドメを打つ」的な表現も見かける。そこまで言うなら敢えてレコードでは買わずにCDで聞いてみたい!と思っていたところ約半年、たまたま入手できてしまった。なんてことはない、しれーっと棚に並んでたのを捕獲した次第。
なお同音源はPhilipsからも公式海賊盤的な形でリリースされている音源がある。こちらの音質についてはアマゾンのレビューをご参照いただきたい。私はちょっと納得できないが、絶賛している人もいる(演奏の絶賛は私も同意。音質はどうかな…)
ファーストコンタクトの感想は・・・「え??」
さて、早速CDを聞いてみたのだが・・・ぶっちゃけ
え?これってそんなにいい音ですか?
これが正直な感想。
確かに前掲のフィリップス盤よりは音がクリアではあるが、いわゆる高音質盤独特の「ガツン」とくるようなパワーも、透明感も薄く感じる。
演奏の細部がよく聞こえるのではあるが、それはあくまでフィリップス盤と比較してのこと。
マニアたち垂涎の、という売り文句に対して勝ててないな、、と。
音の距離も比較的遠い。これは海賊版なのである程度しょうがないところではあるが、、、
正直4500円は高いな、と感じた。
ところが、ひょんなことからこのCDの底力を知ることに!
なんだか失敗談みたいになってしまった。
そう、はじめはほんとに失敗だったな、と正直思った。愛聴盤にはならないんじゃないかと。
とはいえ貧乏性なので週に一回位はプレイヤーに乗せて流し聞きしたりしていた。
印象が変わったのはある日深夜、ヘッドフォンで聞いたときだ。夜中なのでスピーカーで鳴らすとご近所さんにご迷惑だな、と思い、深夜はヘッドフォンを使用している。
いつものように手元の音源をBGM代わりに流し、大好きな池波正太郎の小説を読んでいたら、やたらガツンとくるヴァイオリンの音色が耳に流れ込んできた。
おいおいおい!これがあのSTIL盤かいっ!
正直、びっくりした。昼間はこんないい音、スピーカーで流れたこと無いぞ。
JBLで鳴らしたとき以上にしっかり音が出てくる出てくる!
まるで目の前にヌヴーがいるようだ、は言い過ぎだが、距離感もバッチリできれいに力強く脳に響いてくるヴァイオリンの音色。
なんだなんだ、君はJBLが嫌いなのか?
そんなファニーなセリフが頭によぎるぐらいの素晴らしさなのだ
第1楽章のハードな弾き込みは「これでもかっ」と言わんばかりの力強いボウイングと箱鳴りがグイグイ迫ってくる。
第2楽章のアダージョは若干引き気味の距離感ではあるが、この楽章にはむしろこのくらいの抑制がいいんじゃないだろうか。柔らかにたゆたうオケとソロがたまらない。
何より、ホールで聞いている臨場感がある。スピーカー出力だとどうにも物足りなかったのだが、ヘッドフォンにした途端にまるで別音源かと思うような響きを聞かせてくれる。
STIL盤よ、これがお前の持つ本来の力か。
オーオタやクラオタ界隈での伝説?はヘッドフォンを使用して初めて分かるものであったか・・・
やはりここまでくればLPでも聞かなければ・・・
今回はたまたま貧乏性によるリスニングフリークエンシーアップと深夜におけるヘッドフォン使用、という偶然が重なったことでSTIL盤の魅力を偶然発見することに成功した。
しかし理屈で考えるとやはりおかしい。
スピーカーで聞いてダメなのにヘッドホンで聞くと最高、なんてことがあるんだろうか。
多分に私の聴覚の問題や感性の問題、ロックやパンクに若い頃から侵食され毒されている音楽センスの問題でもある気がする。
それにしても、これほどまでに違うという経験は正直初めてだ。
むしろヘッドフォンはイマイチなんだけどスピーカーで聞いたらOK、みたいな音源のほうが多いように思う。
ということで、今度はやはり同じSTILから出ている同音源のレコードも聞いて比較してみなければなるまい。
歴史の流れで考えればおそらくLPでの登場が先で、同音源を後にCDでも販売した、と考えるのが正しいかと思う。
元となる音源はおそらくテープか何かだと思うので、CDがこのレコードの板起こしということは考えにくい。
ということはCDフォーマットにする段階で何かしらの調整が入ったため、ヘッドフォンには最適化されているがスピーカー出力だとイマイチ…となっている可能性がある気がする。
もちろん私の視聴環境(特に使用しているスピーカーやプレイヤー)との相性もあるだろう。
ただ私としてはやはりヘッドフォンはあくまで「騒音対策」のための二次的なリスニング方法であって第一義は「スピーカーでオープンエアで良音で楽しむ」ことである。
であるならば、同じ音源かつ高音質のCDを持っているとしても、あえてLPも購入してどちらが音が良いのか検証してみたいと思うのは自然の流れである。
(いや、そのへんが若干中毒じみていることも認識している)
続きはレコで手に入れたら、ということで今日はここまで。
ご一読ありがとうございました。
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