初めてジャズにトライするなら秋!
11月に入りこの間までの夏日はどこへやら、急に気温が下がり始めた。
こういう季節はジャズがいい。
いわゆる、秋ジャズだ。
日が暮れるのも早くなり、夜の時間が長くなる。
しっぽりお酒でも飲みながらジャズでも聴いてみたい、と思う季節こそ秋なのだ。
とはいえ、「え、ジャズってイマイチよくわかんないんだけど」という人も多いのではなかろうか?
よくあるお悩み・イメージはこんな感じかと思う
私自身もそうだった。
ジャズを聞き始めたのは高校生の頃。右も左も分からなかった。売り場に行けば偏屈そうなオヤジ客ばっかり。うわー、感じ悪いわぁ〜、と正直思っていた。
ところが、よく通っていたあるCDショップの店員さんがとてもいい人で、素人の私にいろいろと教えてくれたり、たくさんCDを試聴させてくれた。その店員さんのお陰で私はジャズが大好きになった。
今回は私のような悩みを抱えているかもしれない読者の方に、この季節・秋の夜長にぴったりハマるセツナ系名盤を3枚ご紹介したい。
もちろん初心者向け、でキャッチーなものを前提に選んでいる。
が、ちょこっとだけひねって選んでみた。
コンセプトはこんな感じ。
ということで、「秋の夜長に聴きたいジャズ名盤」ご紹介。
キーワードは「セツナ」だ。
1.まさに秋の夜長のセツナ系!「Moon Beams」 / Bill Evans Trio
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ジャズといえば、の代名詞的アーティストにしてモダンジャズを代表するピアニスト、ビル・エヴァンス(Bill Evans)率いるトリオ(ピアノ・ベース・ドラム)の1枚。
ビル・エヴァンスについての詳細を知りたい人はWikiを読んでいただきたい。生涯でグラミー賞に18回ノミネート、うち7回受賞している。
特にファースト・トリオと呼ばれる3人(ドラム:ポール・モチアン、ベース:スコット・ラファロ)での作品「Waltz For Debby」は知らぬもののなきジャズ界の金字塔たりえる1枚として多くの音楽ファンに愛されている。
今回ご紹介の「Moon Beams」は、先程申し述べたファースト・トリオにて天才的なインタープレイを聞かせてくれていたベースのスコット・ラファロの夭逝後加入した新メンバー、チャック・イスラエルを迎えて録音された作品である。
全編ミディアム〜スローな曲で構成されている本作は、ビルの紡ぐ繊細で抒情的なピアノ、柔らかなリズムを刻むモチアンのドラム、イスラエルのセンシティブなプレイが渾然一体となって夭逝したラファロを追悼しているかのようなセツナにあふれている。アルバム全体が静かで繊緻(せんちん)な雰囲気を醸し出す一枚である。
このアルバムで特にオススメの曲は#1「Re:Person I Know」、と#8「Very Early」
特に「Re:〜」、この1曲だけでもエヴァンスの独特のピアノスタイルと感性の際立ちみたいなものが感じられると思う。
2.こちらはオールシーズン対応も、やはり秋の夜長のセツナ夜に。「The Melody At Night With You」/ Keith Jarrett
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2枚目はピアノ・ソロのこの作品。
キース・ジャレット(Keith Jarrett)は即興演奏の巧みさや多様な音楽スタイルで輝くアメリカのジャズピアニストである。
キースといえばトリオも有名だが、やはり出色はソロ演奏。ECMレコードからリリースされた『The Köln Concert』はその代表作として広く称賛されている。また、ジャレットはジャズの垣根を越え、クラシック音楽や世界音楽にも挑戦し、その幅広い表現力で多くのファンを引き寄せている。
実はちょっとクセがあるピアニストなので名盤と名高い『The Köln Concert』も良いのだが、初めての方にはスタンダード・ナンバーで固められたこちらのアルバムのほうがとっつきやすいと思う。
※クセ:演奏中にメロディに酔ってしまったのか、彼のうめき声も一緒に録音されてるんですよ。それが苦手という人も多いのでクセ、としましたw
一音一音、慈しむように奏でられるメロディがじわーっと染み込んできて疲れた心を癒やしてくれる。夜ひとりで物思いにふけったり、お酒を飲みながらその日を振り返ったり、思い出や余韻に静かに浸りたいときにおすすめしたい1枚。
中でもおすすめのトラックは#1「I Love You, Porgy」と#6「Blame it on my Youth」
もちろん全曲素晴らしいので、このアルバムは通し聴きしちゃうことが多い。
3.ガールズセツナ系No.1!「Little Girl Blue」/ Nina Simone
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さて、3枚目は歌モノを。
ニーナ・シモン(Nina Simone)は20世紀のアメリカのシンガーソングライターで、ジャズ、ソウル、クラシック、R&Bといった幅広いジャンルを巧みに取り入れ、個性的な音楽を展開したアーティスト。
一瞬「男性か?」と思うようなハスキーボイスの彼女は力強く感情豊かな歌唱力で知られ、社会的なテーマや公民権運動の問題に取り組む歌詞が特徴的な歌手であるとともに、優れたピアニストとしても高く評価され、自らの楽曲でピアノを演奏することが多かった。
ご紹介するのはそんなニーナのファーストアルバム。ニーナの弾くピアノにドラム・ベースを加えたトリオ編成での演奏である。
ジャズ・ブルース・クラシック、すべての要素が混じり合い、ファーストアルバムにして「ニーナ」という唯一無二の個性が溢れまくってる一枚だと思う。
オススメはもちろんアルバムタイトル曲の#4「Little Girl Blue」
切なく寂しげな中に凛とした芯の太い力強さを感じるよ。
まとめ:秋ジャズでセツナの刹那を楽しんで!
ということで、今回はサラリと秋ジャズの「セツナ系」3枚を紹介した。
他にも紹介したいアルバムはたくさんあるのだが、あんまり増えすぎるとマトがブレる、ということであえて3枚に絞り込んでみた。
特に「セツナ系」、これは各人の感情との同期具合にもよるわけなので読者の方にとっては「いやー、イマイチ、はまらないな…」というものもあったかもしれないがご容赦を。
ご自身の現在のお気持ちとマッチングすることを祈るばかりである。
最近はめっきり秋の期間が短くなって、猛暑のあとにはすぐ酷寒が訪れる、そんな気候変動も感じるが、秋の夜長は最も過ごしやすい季節。癒やしセツナ系で皆様の音楽ライフにうるおいが届けられれば幸いだ。
ちなみにあえて今回は「セツナ」、とカタカナ表記にした。
「切ない」という意味の「セツナ」であり、瞬間を切り取る「刹那」でもある。
季節は移ろい、繰り返す。
長いようで短い、その一瞬を大切に。
そんな気持ちを込めてみた。
皆様のセツナに寄り添えればと思う。
ご一読ありがとうございました。
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