Norah Jonesの再来⁉︎この鳥肌ものの歌声は何だ!!
久しぶりに鳥肌の立つ作品に出会った。
Laufeyと書いて「レイヴェイ」と日本語表記されるこのアーティストの作品だ。
Laufey、実はディスクユニオンの店頭やタワレコのメルマガで鬼推ししていたのは知っていた。この作品である。
ただ、どうにもジャケットがR&Bのいわゆるビッチ系を彷彿させるためか、なかなか食指が動かなかった。一応聞くだけきくか・・・ということで、サブスクで試聴もしてみたのだが、どうにもピンと来なかったのだ。Laufey、って何て読むんだろ?なんて思った記憶はあるのだが、アーティスト名とジャケットがシンクロしてメモリーされていなかった。
それから少し間があいて、ディスクユニオンが再発でプッシュしてきたのが今回紹介する彼女のファーストアルバム「Everything I Know About Love」である。
レコメンされて、ジャケットも気になれば基本はサブスク試聴するのが私の流儀。今回の「Everything~」ジャケットは結構好きなタイプのデザインということもあり、期待して聞いてみたら、これが大当たり。1曲目のFragileで「おいおい、これはノラ・ジョーンズの再来か?それともビリー・アイリッシュに対する欧州からの返答か?」と思うくらい透き通った声。思わず鳥肌がたった。
よくよくみてみるとアーティストはLaufey、「え!この間のあのビッチ系?」とここで記憶が繋がる。最近の韓流アーティストやテレビタレントの名前は全くメモリーできないが、音楽については一回聴いたものは意外にランダムアクセスメモリーできてしまう私。「これが同じアーティストなの?」という疑問もありつつ、早速レコードを購入した次第である。
Laufey (レイヴェイ)
まずはレイヴェイについて。いつものようにWikiを調べてみよう。
レイヴェイ ([ˈleɪveɪ] , Laufey 又は Laufey Lín Jónsdóttir ; 林冰 ;1999年4月23日- )は、アイスランド出身のシンガーソングライター。
2014年、アイスランド版 Got Talent のファイナリスト。2015年「ザ・ヴォイス アイスランド」 のセミファイナリスト。2021年に、デビューEP「Typical of Me」をリリースし、バークリー音楽大学を卒業。
2022年のデビューアルバム「Everything I Know About Love」は、 アイスランドと米国でチャートインした。続く2023年には、アルバム「Bewitched」を発売し、同アルバムは2024年度グラミー賞の Best Traditional Pop Vocal Album にノミネートされた。2023年には、シングル 「From the Start」をリリースした。
Wikipediaより引用
2024年で25歳。ビリー・アイリッシュが23になる年なのでちょっと年上だがいわゆる同じ世代である。調べていくと両親・祖父母などにクラシック演奏家がいるいわゆる音楽一家。母はアイスランド交響楽団の主席ヴァイオリニストともなれば、小さな頃から音楽に親しんできたことは間違いない。
レイヴェイは、幼い時からクラシック音楽に影響を受け、自身でも演奏してきたが、同時に、父親のコレクションであるエラ・フィッツジェラルド やビリー・ホリデイといった女性ヴォーカルのジャズのレコードを聴いていたことが、現在の音楽のスタイルの獲得に影響しているという。特に、フィッツジェラルドとチェット・ベイカー が一番のお気に入りで、最も芸術的な影響を受けたという。また、テイラー・スウィフト、ノラ・ジョーンズおよびアデルは、音楽家としてインスピレーションを受けたといい、「(スウィフト)がポップとカントリーをやったように、自分もジャズをやってみたい。彼女は、世界中の人々が一つになるのを助けているし、それがミュージシャンの私にとっての最終目標の一つだ。」という。
Wikipediaより引用
今回紹介するアルバム「Everything I Know About Love」は彼女のファーストアルバムである。
特にノラと、アデルの影響が大きいように私は感じた。エラやビリー・ホリデイ、チェット・ベイカーがお気に入りということではあるが、本作品がその雰囲気を持っているかと言われると一考の余地ありと思う。加えて、本人がどう思っているのかわからないが同じアイスランドのディーヴァ、ビョークの影響も少なからずあるように私は感じた。
色々調べていくと、レイヴェイについてはレコード店のサイトなどでやたらジャズ文脈に載せようとする機運があるように感じるが、正直ジャズではないと思う。極上のポップミュージック、現在進行形のシンガーソングライター、ジャズなんて枠組みは取っ払ってしまった方が先入観がなくて良いと思う。
Everything I Know About Love
アナログレコード パッケージ
まずはジャケット。
購入したのはアナログレコードである。アルバムジャケットはゲートフォールド仕様ではないが比較的厚みのあるジャケット。
ジャケットの中には12インチサイズの歌詞の記載されたブックレットが入っている。合計12P。本人の写真が何枚か掲載されている。レイヴェイの風貌は中華系の血筋の現れであろう、ほのかにオリエンタルな雰囲気が漂う。動画最盛期のこのご時世、写真などいくらでも見れるわけだが、こういう装丁にこだわる辺り、アナログユーザーとしては好感が持てる。
レコードレーベル
レーベル面はシンプルな白。今回レコード盤は通常のブラックヴァイナルで手に入れたが確かカラーヴァイナルも出ていた気がする。カラーだと傷や埃が見えにくいので私はブラック派だ。
マトリクスはA面が[245120E1/I]、B面が[245021E2/I]である。
Discogで調べてみると、このレコードはレーベル番号で「LAULP001」と「LAULP001R」の2種類がある。末尾にRがついている方が近年プレスと考えるのが自然だろう。私のも「R」すなわちリプレス、を表すレーベル番号がついていたので、マトはオリジナルではなく切り直したものだと思われる。
なおプレス国であるが、ジャケット裏にチェコの記載があったのでチェコプレスだろう。つまりEU盤ということになる。
ストーンズの新作もチェコプレスだったし、最近の欧州プレスはチェコが多いのかな?
レコードの音質
さて音の方である。先に書いた通り私は本作をまずはサブスク(Apple Music)で聴いた。その時点で既に鳥肌ものだったのだが、レコードだとどうか?と思いあえてアナログ購入に至った。この声質とこの音作りであれば間違いなくレコード、アナログのぬくもりある出音が素晴らしいに違いない、と踏んだからだ。
結果は大正解。全体的にサブスクよりも厚みと暖かみが増し、Laufeyの声やバックのフルアコギターの音なんかが非常に角の取れて柔らかな響きを聞かせてくれる。
最新の音楽ではあるのだが、どことなくレイドバックした音作りの曲が多い。アナログを意識した音作りと言っていいだろう。この辺はノラ・ジョーンズとも共通するところである。
おすすめの楽曲
最後にいくつかおすすめの楽曲を紹介して終わりとしたい。もちろんアルバム全体を通して捨て曲なし、であることは間違い無いのだが、「とりあえずどれ聴いたらいい?」という方にいくつかピックアップしておく。
Fragile
まずはこのアルバムの冒頭を飾る「Fragile」。ギターの刻みはあるものの、ほぼアカペラのような形で歌い始めるこの曲で私はノックアウトされた。
どことなく後ろの音作り、特に効果音的に使われるコーラスにはアイスランド的なメロディを感じてしまう。シガー・ロスやビョークにも共通するような、オーケストレーションが荘厳さと冷徹さを感じさせる。透徹な声色で歌う切ないメロディが胸をキュンと締め付ける。いや、たまらんな、こりゃ。
About The Chinese Restaurant
90年代オルタナティヴを感じさせる佳曲。オフィシャルビデオは延々と中華料理のデリバリーを食べるシーンがリピートされる作りで、ミニマムなグランジの世界観のようなものを感じさせる。
歌詞もいい。ぜひ全部読んでもらいたいが一節だけ。
Wish I’d known That I had all I could want
In our tiny apartment
Above the Chinese restaurant
気付けばよかったな
欲しいものは全部、あの狭いアパートにあったんだって
中華屋さんの上のあのアパートに
音の方向性は以前紹介したSoft Blue Shimmerにも似ている。私好みの曲だ。
サマソニ出演も決定!レコードはお早めに
お勧め曲はとりあえず2曲選ばせてもらったが、できればアルバム全体で一つの楽曲、という意識で通して聴いてもらう方がよいと思う。そのほうがこの作品の良さがわかってもらえるのではないだろうか。
さて、Laufeyだが、なんと本年2024年のサマーソニックにも出演が決まっている。
Laufey(レイヴェイ)|『Bewitched: The Goddess Edition』サマーソニック2024出演!大ヒット作に新曲を加えたデラックス版!更に国内盤にはライブ音源も収録
タワレコオンラインより引用
過去には2023年にブルーノートで一度来日公演はしているようだが、ここまでメジャーになってのライブ・お目見えはこの舞台が初、と言ってもいいだろう。来日記念盤も色々発売されるようなので気になったらこちらから入ってみるのも面白いかもしれない。
いつの時代も素晴らしい才能が出てくることは喜ばしいことだ。サマソニの舞台が彼女にあっているかどうかは分からないが、きっと素晴らしいステージを見せてくれるに違いないと期待している。
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