イーグルス「ホテル・カリフォルニア」真正オリジナルプロモ盤
ども。
本日の記事は2020/11/21にJazz Olympus!さんにて実施されたロック喫茶変身イベント、のあとに某SNSに書いた個人的なメモである。
ずーっと発表する場すら持っておらず、noteでのみ補筆版を公開していたがせっかくオリジナルドメインを獲得したのでこちらに転載したい。
なにせ、私が聞かせてもらった盤は唯一無二、メンバー全員のサインが入った真正プロモ盤。その音たるや鮮烈であった。と同時に、お伺いした話は後世に残しておくべきなのではないか?とも思う。
私の邪推含みでもあるが、、、そういうのが楽しいんじゃないか(笑)
それでは。
オリジナル盤のミステリーポイント
Eagles 「Hotel California」
昨日は久しぶりのJazzOlympusで「ロック喫茶変身イベント」の日であった。コロナ禍以前はおおよそ3ヶ月に1回開催されていたが、本年は1月の開催をもって一旦休止、、とのことで実に10ヶ月ぶりの開催。
選盤・選定されるMさん(精神科医・以下先生と略)所蔵の盤には毎回驚かされるが、今回はリストを一見したところ「まぁ、暇なら顔を出そうかな」くらいの印象。
※リストは以下。
1) The Jimi Hendrix Experience/ Are You Experienced? US Reprise
2) The Rolling Stones/ Goat’s Head Soup UK Rolling Stones
3) Deep Purple/ Burn UK Purple
4) Pink Floyd/ Wish You Were Here UK Harvest
5) Carole King/ Tapestry US Ode
6) Eagles/ Hotel California US Asylum test pressing mat 2/4
7) Brian Auger & The Trinity UK RCA Victor Carol Grimes… and Delivery UK
個人的に興味があったのはPink Floydのテストプレス、それからキャロル・キングの名作のオリ盤(USオリジナルを所有してないので)、それから今回のイーグルスの当盤のテストプレスである。
キャロル・キングは先日別記事で触れた。
今日はイーグルスについての雑感をメモしておく。
イーグルスのアルバム「Hotel California」(日本的愛称:ホテカル)は言わずもがな名盤である。
私もUSオリジナル盤を所有しているが、はてさてテストプレスがオリジナル盤とどう違うのか?この疑問がいつもとはちょっと違う角度から湧き上がった。
普段であればオリジナル盤とその他盤の違いというのは「音」に求めるものである。が今回「ちょっと違う角度」としたのは、「そもそも音以前に、このアルバムのオリジナル盤とはどれが正解なのか?」という、音以前の問題にまずぶつかってしまった点だ。
このアルバムはアメリカどころか世界中で売れに売れまくったアルバムであるので、当然ながらプレス工場もフル稼働、各国でも現地プレスで大量生産している。
アーティスト立ち会いのもとで初めてのプレスを作った工場の制作盤をオリジナルとするのであれば、当然US盤がオリジナルであることは自明の理。
ではいったいUS内のどの工場でのプレスが一番最初のものだったのか、これがミステリーポイントなのだ。
オリジナル定義不在?超名盤、ゆえのジレンマ
本作「ホテル・カリフォルニア」は売れに売れまくってしまったため、当然需要に答えるべく大量生産(プレス)された。そう、プレスされすぎたおかげでその出自(ファーストプレス)がいったいどこのプレス工場のものなのかわからんのだ。
当然ながらオリジナル盤調査=マトリクス番号、が捜査開始の第一歩であるが、アメリカ原産のレコードは大陸が広すぎるがゆえ工場も分散・同時多発的に大量製造をしており、マトリクス番号もUK版のような規則性に囚われていない場合が多々ある。そのため何らかの手がかりがないと真正オリジナルを見つけ出すのは至難の業である。
加えて盤のクオリティもプレス工場によって異なり、レーベルによってプレス工場の所在地も違うという環境も問題を複雑化している要因である。(問題、っていうか気にしなきゃ問題でもなんでもないんだけどねw)
つまり私は音以前に、ホテカルのオリジナル盤とはそもそもどこ工場のプレスになるのか?ここで引っかかってしまい、沼にハマっていったわけだ。
今回のイーグルス=アサイラムレーベルにおけるオリジナルファーストプレスの定義づけは私にとっては大変興味関心惹かれるネタであった。今回のイベントがその端緒となるかもしれんと思って参加したのである。(ぶっちゃけ外出自粛で他に行くとこもなく暇だったから、というのもあるw)
で、マトリクスとか工場とかアサイラムレーベルとか、そういう話を随分と端折るために以下のリンクを参照するのが一番わかり易いと思うので此処から先はまずこのリンク先をご一読ください。
大変良く検証されているので、この説に従うなら東海岸SP工場分がオリジナル、となるかと思う。
ところがどっこい、今回のイベントで披露されたテストプレスは私が所有している盤と同様の西海岸CSM工場プレスだった。マトは私のより両面とも1つ若いA2/B4である。
70年代アメリカの音楽メディアとプロモ盤
「いやいや、CSM工場のテストプレスが流出しただけで、はじめにラッカーを作った(つまりファーストプレスした)のはSP工場なんじゃないの?」、という疑念はごもっとも。テストプレスがあったからといってその工場がファーストとは限らない。どの工場だって製造の前にテストするしね。
ただ気になったのは今回のこのテストプレスにはなんとメンバー全員のサインがジャケットに入っており(写真)、ラジオDJのStevenさんという人に送られ、そのStevenさんから先生が直接購入したという、いわば「身元のはっきりした」テストプレスである点である。
アサイラムは西海岸に本拠地を置くレーベルのため、ラジオプロモのための盤は西海岸のサンタマリア(CSM)工場分を使っただけで、実際に溝を切ってラッカー盤制作し、イーグルスメンバーがOKを出したファーストカット・ファーストプレスは東海岸SP工場である、ということも十分考えられるのだが…
ここからは私の邪推。
はてさてアーティスト本人たちのサインを入れて送るプロモ盤に2番煎じ工場で制作したプレスを使うだろうか?と考えると、時代背景からそれはないような気がする。当時の音楽メディアの最先端はTVとラジオである。特にラジオは広大なアメリカのクルマ社会には欠かせないメディアであったはずだ。つまりアルバムの売上の成否はラジオでのオンエア回数にかかっている。同時代のアーティストがこぞってプロモ盤をラジオ局に送っていた事実を考えると、やはりもっとも音質がいいプレス=テストプレス、すなわち一番若々しくて鮮度の高い盤を、DJの気を惹くためにメンバー全員でサインを入れて送りつける。これが自然な気がする。しかもイーグルスの曲ってドライブに合うしね。ラジオから火がつかないと売れないわな。
つまり私の結論はCSM盤こそオリジナルのファーストプレスではないか?ということ。
上記の想也氏のブログによるとSP工場盤のほうが音にメリハリがありキリッとしている、とのことだが、今回のイベントで鳴ったCSM盤はとても繊細で、例えば表題曲のギターソロの後ろで流れるアコギのバッキング、A面4曲目の美しくも儚いバラード「Wasted Time」のピアノのバッキング、全編を通してのコーラスワークが大変美しく表現されていた。もちろん、これはジャズ喫茶で大音量かつ調整しつくされたオーディオシステムで鳴らされている、ということも一因ではあろう。
昨日の余韻冷めやらぬまま、私もこれを書きながら自宅で所有盤(CSMプレス_マトA3/B5)を聴いているが、負けず劣らずの良音である。
先程聞いてきたプロモ盤には劣るが、このCSM工場盤がオリジナル説を裏付けると言わんばかりの繊細さはプロモ盤につながるものを感じることができる。
いまだ東海岸SP工場のプレスを聞いたことはないのだが、次回は聴き比べを実施してみたい。
以上、マニアックなオリジナルファーストプレス邪推でしたw
ご一読ありがとうございました。
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