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【良音CD】カール・シューリヒト/ベートーヴェン交響曲全集

CD

 

きっかけは伝説のフルトヴェングラーBOX

レコードではないのだが、良音盤を見つけたのでメモ程度に。
EMIのシューリヒトのベートーヴェン交響曲全集。中古にて2023年10月に3000円にて購入。

このボックス体裁のEMIのCD、といえばやはりフルトヴェングラーのベートーヴェン全集が頭に浮かぶ。

幻の!と言っても過言ではないお値段の全集。大まか4万程度か。

このフルトヴェングラーのBOXは最高峰に音がいいと界隈では知れ渡っている。実は私もつい先日、「清水ダイヴ」して購入、その「最高峰」といわれる音を体感することができた。正直レコードじゃなくてもいいかな?というくらい、噂に違わぬ高音質盤であった。いかんせん値段が高いのが苦しいが。

で、同時代に製造された他のアーティストに関してもこのシリーズは良音盤が多いのでは?という仮説を持っているのだが、やはり然り。シューリヒトも大変に素晴らしいものだった。

特岡氏インスパイア

本作は交響曲1-8番はモノラル録音、9番のみステレオとのこと。モノラルでも音の分離は素晴らしいし、9番は非常に立体感のある音質である。

実はシューリヒトのベートーヴェンはオリジナル盤で第9を始め数枚保有していたのだが、レコード盤質があまり良くなかったのもあり、さほど良いものとは思えず、演奏もピンとこなかったので売り払ってしまった経緯がある。

ところが、私が愛聴している徳岡直樹氏のYOUTUBEチャンネルの、確かライブ放送だったかと思うが、シューリヒトのベートーヴェンを話題にされておられた回があり、そのときに「あ、ちゃんと聞き直してみたいな」と興味再燃。今回購入に至ったという流れだ。(アーカイブが検索できず…)

ちなみに徳岡先生は先程のフルトヴェングラーのベートーヴェン全集についても特集を組まれている。ご興味のある方はぜひ御覧いただきたい。おそらく演奏面とレコードコレクター面の両面を満たしてくれる最良のプログラムだと個人的には思っている。

心地よさで聴きたいシューリヒト

さてさて、演奏の方は淡麗辛口、フルトヴェングラーのような激情感は皆無という印象だ。
丁寧で綺麗な演奏は「蒼天航路」に対する「横山三国志」、つまりは対極と感じるが、要所要所に見せる「ここ、聞かせどころでしょ」のツボはしっかり押さえている。

また、カラヤンのような重厚壮麗さも感じられない。家系や二郎インスパイア系ラーメンに対する第一旭的なあっさり風味のコク深さが新鮮。

やる気のないあっさりさ、ということではなく、堅実丁寧にあえて余計な激情を意図的に排除しているような印象を受ける。そこが私の好感ポイント。精神性とか、そういうアナリーゼ的なものもまぁ分からなくはないが、正直聴いていて心地良い演奏か?というのがリスナーとしては第一優先であるのでそういった意味では「リスナーに寄り添った」丁寧な演奏だとおもう。

このシューリヒトBOXセット、おそらくレコードの盤質良好盤を分売で購入するよりもコスパも良い。良音盤を求める音響派レコ好きにおすすめしたいと思う。

ご一読ありがとうございました。

 

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