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【ダスト・マイ・ブルーム】久しぶりに聴いたエルモア・ジェームスにノックアウトされるの巻

Blues

エルモア=ジャジャジャ三連祭

エルモア・ジェイムス(Elmore James)といえばダスト・マイ・ブルームなわけだ。

あのスライドギターのオープンコードで三連符をジャジャジャジャジャジャジャ、って刻んで始まる有名曲。このイメージが強すぎて困る。


おそらくどのエルモアのアルバムを買っても収録されてんじゃないか?ってくらい同様のフレーズの曲ばかり、ってこともザラで、エルモアのアルバムは全部ジャジャジャ〜♪って思い込んでしまう。

本アルバムもそのイメージでいた。だって、エルモアといえばあれでしょ?的な。

確かは初めてエルモアを聴いたのは、ブルースを聞き始めた高校生の頃。おおよそ25年前だ。

エルモア=ジャジャジャジャジャジャッジャの人、という当時のイメージのまま、おっさんになってしまったわけだ。

90年代のブルーズ〜オルタナとローファイの間で

そうそう、ブルーズといえば、私が高校生くらいの頃にMCAビクターから米国チェスレーベルの復刻再発があった。いわゆる「チェス名盤50選」みたいなフェアを新星堂でやっていたので手に入れて聴いたのは覚えてる。

ちなみにこれが当時買ったDIGという雑誌。

このブルース特集を読んで私はブルースの世界にのめり込んでいった。

表紙のジョン・リーもものすごくヒップだし、中では日本で客演死したジョニー・ギター・ワトソンの特集も組まれていた。

もし中古店で見つけたら是非とも手にとって読んでほしい。今読んでも鮮度は落ちていないし、むしろ既に他界してしまった多くのブルースマンのインタビューを読むことができる。増補改訂版をぜひ出してほしい一冊だ。

隷好堂
隷好堂

ジョニーG!は最高にヒップ!!ぜひYOUTUBEでいなたいあの姿と歌を堪能してもらいたいね

さて、復刻について。
あ、あった。やはりこの頃MCAビクターから復刻されている。

隷好堂
隷好堂

この頃のDIG誌は本当に面白かった!音楽のことはこの雑誌で学ばせてもらったねぇ。

是非とも復刊してほしい雑誌です。

DIGの本号の発行は1996年。私は高校2年生。

多感な高校時代によくブルーズの世界に足を踏み入れたな…と自分でも思うが、よくよく考えると当時の流行り音楽がブルーズとの橋渡しを容易にしてくれたことが背景にあったのだと思う。

この頃はいわゆるグランジの波が一段落し、オルタナ・ヒップホップ・ローファイ・メロコア、が入り乱れた百花繚乱の時代だった。

そのころ私が好きだったのはジョン・スペンサー・ブルースエクスプロージョン(JSBX)やGラヴ&スペシャルソースベック、というラインナップ。多感だったがゆえに、グランジパンクから直球のハードコア、洒脱なヒップホップ、ミクスチャ、とどんどん食指を伸ばしていったわけだ。その流れでわりとすんなり、ブルーズにも興味も持った。

隷好堂
隷好堂

特にJSBXが大好きで来日ライブも行ったし、JSBXを真似てベースレスのバンドを組んだりしてたね。もちろんJSBXが敬愛していたハウンド・ドッグ・テイラーもよく聴いたよ。

同時期のブルーズ界隈は新興勢力、「ファット・ポッサム」(Fat Possum)というレーベルが飛ぶ鳥を落とす勢いで台頭していた。

ジョンスペが敬愛し、共演盤まで出してしまったRLバーンサイド、ドロドロうねるアルペジオブルース使いのジュニア・キンブロウなんかが再評価・再録音で評価ウナギ登り、話題になっていた。
音楽的にはローファイパンクに近いものもあったので、比較的グランジからブルーズに足を伸ばすのは容易、音も当時なりにモダナイズされていて結構聴き込んだものだ。

そんなわけで、必然的にルーツ探索という道からオールドブルーズに足を突っ込んでいった次第である。

そんな私の高校時代に聴いたエルモアの印象はご多分に漏れず、「似たような曲ばっかでつまらんなー」だった。

そもそもブルースなんてのはワン・アンド・オンリースタイルのミュージシャンが多い。
ジョン・リー・フッカーライトニン・ホプキンスフレッド・マクダウェルなど、もはや曲名と中身の違いが区別できる人がすごい、と思うくらいの必殺一芸なのである。

ということで、このエルモア・ジェームスもそんな「ブルーズあるある」アーティスト、っていうのが刷り込まれてたわけである。

エルモアとの再会@ディスクユニオン

さて、先日いつものようにユニオンをぷらぷらしていると、新着箱の中に本作が。

名作と名高い、エルモア・ジェームスとジョン・ブリムによるスプリットアルバム「Whose Muddy Shoes」。

US ORIGINALのMONOだと大体一万円前後が相場であるから、その価格なら昔のイメージに従ってスルーするところなのだが、今回目についた発掘盤はUS盤。
オリジナルではなく、でもモノラル仕様の盤で2000円程度。

ラベルはこんな感じ。

Elmore James John Brim / Whose Muddy Shoes
Chess CH1537 US MONO

盤質は表記VG++、ジャケ裂け、盤スレプレスミスあり、という曰くつきではあったが、なんとなく値段も安めだしモノラルなら、と食指が伸びたので試聴することに。

A面ど頭から針を落としたが・・・

隷好堂
隷好堂

「あれ?ジャジャジャ、じゃ、ないじゃん?


スキップして曲間溝へ次々と針を落として確認するが、なんとジャジャジャ〜なあのお決まりがない。なんとダストマイ〜すらジャジャジャじゃない!

えー!こんなんだっけ、このアルバム。試聴機の前でヘッドフォンしながらしばし記憶との対話…

記憶をたぐりつつ、「あれ、ジャジャジャ…♪は?」と、今度は逆に「ジャジャジャ」探しをしながら適当に流し聞きしてみるが…ちょっとしか無い。

隷好堂
隷好堂

「え、いいじゃん!いいよ、このアルバム!」

まずバンド構成だし、ギターも微妙に歪んだアコギがブルーズしてんじゃん。しかも曲のアプローチも多彩。極めて滋味深いのだ。もちろんJohn Brimとのスプリットアルバムってのもあるんだろうが、本作がこんなに聴きごたえがあるとは思っても見なかった。

俺が高校の時聞いたアルバムは同じものなのか?と疑いたくなる…が、ラベルを見れば本作は間違いなくジャケと符合している。

いや、まさかこんなにいいアルバムだとは気づかなかった・・・いや、覚えてなかったのか。

つまりは俺のいつの間にかの記憶違い。記憶のすり替わり。あるいはジャジャジャ三連符の強烈な刷り込み。

おそらく他のエルモアのアルバムを聞いて、ジャジャジャ祭りだなー、と印象付き、それがどこかでこのアルバムである、とねじれてメモリーされたのだと思う。

隷好堂
隷好堂

いやー、人間の記憶なんて曖昧、恐ろしいもんですな(笑)

試聴→購入、を経てあらためて自宅で聴いてみるが、やはりモノ盤だけあってパワーも申し分ない。
音圧はおそらくオリジナルには劣ると思うが、それでも2000円なら十分でしょ。

高校の初聞きからもはや20年以上経つ。あの頃は激しい音楽ばっか聴いてたが、最近は古いジャズやクラシックばかり。人の嗜好も変わるものだと我ながら驚きである。

こうやって改めて聞くことで新しい発見がある、発見できる、というのは、本当に幸せなことだな、と心から思う最近である。
エルモア≠ジャジャジャ〜♪、と改めて俺のサビついた脳にメモリーしなおした次第。

エルモア、これからたまに掘ることにしよう。でもジャジャジャ〜♪は飽きるのでパスで(笑)

皆様も随分と聴いてないアルバムなどありましたら、久しぶりに聴いてみると新たな発見があるかもです。

ご一読ありがとうございました。

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