ファーストの三つ巴!UK無修正ターコイズ / UKオリ修正マト1 / USマトA/A PRプレス
誰にでもある憧れ盤、その最たるものの一つがLed Zeppelinのファーストアルバム、「ターコイズ無修正マトリクス」盤ではないだろうか。
今回は以前noteで記事化したこのターコイズ盤と、いわゆるUKオリジナル修正マトリクス、およびUSオリジナル盤の三つ巴企画を増補改定の上お届けしたいと思う。
文量の関係上、一回で全部を公開すると大変な長文になってしまうため、3回に分けてお届けしたい。
今回の比較盤と比較試聴の環境・曲について
まずは今回の比較盤を改めて紹介したい。
Led Zeppelin UK LP (Atlantic 588171 Turquoise)
Led Zeppelin US LP Matrix A/A PR Press 通称「USオリ」
Led Zeppelin UK LP (Atlantic 588171 Orange) 「オレンジ」
試聴環境・機材・曲
今回はレンジの広がりもしっかり把握したかったのでMCカートリッジ&トランス活用、かつヘッドフォン使用での比較である。
タンテ:トーレンスTD-520、トーンアーム:SME3012R、カートリッジ:DENON DL103R、アンプ:サンスイAU-607、ヘッドフォン:MDR-CD900ST
※使用ヘッドフォンについては別途レヴューを書いているのでご参考いただきたい。
また比較する曲だが、ここはシンプルにA1「Good Times Bad Times」とA2「Baby I’m gonna leave you」とする。
【聴き比べ①】ターコイズ無修正マト・真正1stプレス
さてまずは①のターコイズから。
よく「修正マト」「無修正マト」と通称しているが、具体的な修正・無修正箇所はこの部分である。
マトはA面が[588171 A//1] 、B面が[588171 B//1]、機械打ちで刻印されている。この状態が「無修正」である。
翻って「修正マト」はこちら。
上記の写真のように「8」の部分が斜線「/」で消され、すぐその上に手書きで「8」と書き足されている。
さて、続いてレーベルを確認しておこう。
ターコイズのレーベル面。このレーベル配色を俗に「レッド/プラムレーベル」という。(写真写りがちょっと悪いのでプラムに見えないかもしれないが)
余談だが、Atlanticのこのレッドプラムを見るとオリジナル盤に目がないレコ好きとしてはワクワクしてしまう。黒銀のAtlanticレーベル見た日にはドキドキして眠れないほどだ、というヘビーレコードコレクターの方もいるだろう。
さて、レーベル面のソング・クレジット表記はAB両面共に[Superhype Music] と [Jewel Music]。
特にA面のクレジットが、[1.2.4 Superhype Music][3 Jewel Music]のものがVer.1である。
以下、Discogによると複数のバージョンが随時出現しているようだ。(写真も載ってますのでご覧になりたい方はリンクをご参照ください)
Ver.1 A面下部のクレジットが[1.2.4 Superhype Music][3 Jewel Music]
Ver.2 A面下部のクレジットが[1.2.3 Superhype Music][3 Jewel Music]※「3」が二回登場、おそらくミスクレジット。
Ver.3 ジャケ表のロゴがよく知られたオレンジ色に。ただしマトは無修正のママ。レーベル面クレジットはVer.1と同じ正しいクレジットになります。
Ver.4 ロゴはオレンジで、Ver.2同様のレーベル面のミスクレジットのもの。
Ver5. ここでマトに修正。レーベル面クレジットはSuperhype Music / Jewel Music
Ver.6 Ver.5の修正マトのママ。レーベル面のクレジットは [Superhype Music] がなくなり、Warner Bros/7 Arts Jewel Music、に変更。
以上、Discogのおかげで変遷をたどることができた。
音の面だけで言えば、Ver.4まではマト修正が入ってないということなのでオレンジロゴでも無修正マトの個体は存在している。(未試聴・未購入だが一度ディスクユニオンさんで出ているのを見たことがある。)
上記検証から先ほど写真掲出した私の所有盤はVer.1。これは真正1stプレスと言っていいんじゃないだろうか。
幻のターコイズ、サウンドチェック!
さて肝心の音であるが、第一印象はとにかく「音が鮮烈!」である。
ギターを中心にやや高音寄りの爆音傾向がある。ラウドカットと言っても差し障りのないほど、ギターの押し出しが強い。
楽器全体のバランスだが、ギターを中心に据えたマスタリングという印象だ。
ボーカル、ベース、ドラム、それぞれがしっかり鳴っているというよりは、まずギターありきで、歌のときはボーカルが若干前に、ベースソロのときはベースが前に、でも一番前は常にギターという音作りである。特にタイトルトラックともいうべき代表曲のA1はその傾向が顕著だ。
一方、A2はアコギからスタートなのだが、このアコギの残響感が素晴らしい!の一言。ものの本によるとこのA2のアコギはギブソンのJ-200にエレキの弦を張って録音した、という話が書いてあるが、エレキ弦だからなのか、音は全然ギブソンではない気がする(笑)どちらかというと「鈴なりのマーチン」に近い感じ。奥行きがとてもあって幽玄に鳴っている。正直この鳴りはUKオレンジ、USオリジナルに対しても圧勝である。
ただ、A2後半部分の全楽器が入ってクレッシェントしていくところは、正直音がデカすぎて若干割れて聞こえる。クラッシュシンバルがデカイからなのか?全体的な音がフレッシュすぎるからか?原因はよくわからないのだが、楽器の分離・メリハリが乏しく、「爆音なだけ」、という印象も拭えない。
ターコイズはこの2曲以外も、とにかく音がフレッシュな印象だった。もう採れたてのピチピチのお魚を活け造りで楽しむような、そんな勢いと野趣をビンビンと感じる。
さて、対する残り2枚はどうなのか?
これが意外や意外?な印象なんです。この続きはまた次回に。
今日もご一読ありがとうございました。
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