- 最近のお気に入り5選_23年10月
- ノラ・ジョーンズ / カム・アウェイ・ウィズ・ミーNorah Jones / Come Away With Me(SACD・アナプロ盤)
- ビリー・アイリッシュ / ハピアー ザン エヴァーBillie Eilish / Happier Than Ever(AppleMusic、CD、LP)
- ウラディミール・アシュケナージ / ショパン ノクターン(夜想曲)VLADIMIR ASHKENAZY / Chopin NOCTURNE(CD)
- カール・ズスケ / JSバッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータKarl Suske / J.S Bach Sonatas & Partitas For Solo Violin(CD)
- ローリング・ストーンズ / ハックニー・ダイアモンドThe Rolling Stones / Hackney Diamonds
- まとめ
最近のお気に入り5選_23年10月
これまで主にレコードを中心とした古めの物理メディア音源、なかには現在入手しがたいレアなものも紹介してきた。
一介の町場のマニアが書いたこのような文章を読んで、「ああ、これ欲しいなぁ」「聞いてみたいなぁ」と思ってくれた人がいたとすれば私にとってはこれほどうれしいことはない。
ただ、いかんせん紹介アイテムが中古がほとんどであるので、読者の方の「追体験」「再現性」という部分ではなかなか難しいものもあるな、ということも理解している。私も他人様のブログを読んで同様の気持ちになるが、「とはいえ今となっては入手は無理だわ…」、という残念な体験もしこたましてきた。
ということで、趣向を変えて現在も比較的容易に入手可能な、近年販売の音楽メディア・音源ついて今後定期的に紹介したいと思う。
なお、イマドキは当然サブスクが全盛であり、ご紹介するものはほぼサブスクサービスで聞ける。ちなみに私はサブスクの音楽サービスはApple Musicを使っている。
ただ、年齢のためなのか、「抑えがたい物理メディアへの欲望」というのは私の中に常にあって、サブスクで聞いてよかったものはどうしても物理メディアを買わないと気が済まない質である。ご紹介するアイテムについてはCD、ないしレコードで聞いた感想をもとにレビューしていることを記載しておく。
また、「今月の…」と書いてあるが、今月発売されてないものがほとんどである。定期ということで「私が今月よく聞いた」という意味でご理解いただければ幸いである。
ノラ・ジョーンズ / カム・アウェイ・ウィズ・ミーNorah Jones / Come Away With Me(SACD・アナプロ盤)
いわずと知れた名盤にして、オーディオ好きにはリファレンス音源として使われることも多い本作。
もちろんこちらはLP、CDとも所有していたが、最近Analogue Productions(アナプロ)によるリマスターSACDが出ているの知り購入。
何度も聞いている作品だが、こうやってSACDで聴くとEU ORIGINAL盤LPと比較しても遜色のない、非常に澄んだきれいな音色を聞かせてくれる。
もちろんノーマルのCDよりもコクのある彫の深い音がするので、LP・レコードプレイヤーは持ってないが聞いてみたい、という方にもおすすめ。
本作はご本家BlueNoteからもリマスターSACDが出ているようだが、私はアナログプロダクションの熱烈な信奉者である。あくまで推測であるが、レコードで聞く感覚はこちらのアナプロ版のほうが近しいのではないかと思う。
オールデイ・オールナイトかけっぱなしでもまったく飽きることのない、秋の移り気な季節に暖かさも切なさも同梱した本作はぴったり来る本作。こちらはいつかLPでUS ORIGINAL盤も入手して3つ巴の聴き比べをしてみたい次第である。
なお、アナプロ盤はアマゾンでは販売がないようなのでご注意を。
ビリー・アイリッシュ / ハピアー ザン エヴァーBillie Eilish / Happier Than Ever(AppleMusic、CD、LP)
ちょっと前に巷で話題だったが、「おそらくヒップホップか何かだろう」、と決めつけ。タカを括ってスルーしていた。
最近、とあるYOUTUBEの紹介動画をみて興味を持ち、まずはサブスクで試聴。若者=R&Bやヒップホップ的なドンツク4つ打ちを想像していたらいい意味で全くの肩透かし。加齢による先入観はもっとも忌むべきものだと改めて反省した。
以来自宅・通勤など様々なシチュエーションでヘビーローテーション中。
1曲目から素晴らしいボーカルと、ミニマリズムあふれる音作りに感銘を受けた。特に声質、ハリがあって柔らかい。
その後CD、およびEU ORIGINALのLP(2枚組)も入手。いずれのフォーマットも音作りは素晴らしい。
このデジタル全盛のご時勢にあえて余計な音を加えず、ボーカルを中心とした楽曲構成に好感。ガチャガチャうるさい音楽と思いきや、歌詞と声に重きを置いていて乱雑さは皆無。夜中でも全く気にならないほどだ。
比較的熱しやすく冷めやすい私が飽きずに聞いていられる、近年では稀有なアルバム。私はAppleMusicでも十分及第点だと思うが、ちゃんとしたスピーカーで聞くならばやはりCDか、LPが良いと思う。
余談だがLP2枚組は裏表・盤を交換するのがめんどくさい。音は良いが、時間のある時のみ使用。
ウラディミール・アシュケナージ / ショパン ノクターン(夜想曲)VLADIMIR ASHKENAZY / Chopin NOCTURNE(CD)
ディスクユニオンの中古500円均一の棚に押しやられていたので捕獲してみた。2枚組。
アシュケナージは先日出た「ラフマニノフ・ピアノ協奏曲全集」(ESOTERIC)がすこぶるよかった。
今後掘り進めていきたいアーティストリストに入れていた矢先だったので、早速購入。
私はクラシック歴は非常に浅い。アシュケナージのイメージというのはアニメ「ピアノの森」で弾いていた人、くらいしかない。よって先入観なしで彼のショパンに触れることができた。
演奏は非常に明晰で極端な抒情性に寄っているわけでもなく、淡々とし過ぎているわけでもない。端麗で柔らかい演奏である。
「こってり」でも「あっさり」でもない、中間(「こっさり」、っていうのもちょっと違うのだが)よりは若干あっさり寄り、という印象。
ノクターン(夜想曲)だけに夜聞くのがいいわけだが、ピレスはちょっと濃すぎるというか重たい…そう感じる人にはこちらのアルバム、アシュケナージをおススメしたい。
CDの録音も非常にクリアで音質もよい。たまたま500円で入手できたのはラッキーだった。
なお、現行版は写真とは違うジャケットに変更になっているが演奏は同じである。
カール・ズスケ / JSバッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータKarl Suske / J.S Bach Sonatas & Partitas For Solo Violin(CD)
バッハの無伴奏(VN)は名演多数。私もいくつか所有しているが最近のお気に入りはこれ。
ズスケの演奏には「宇宙」を感じる。奇を衒った演奏でもないし、むしろ淡々と紡がれていくメロディとヴァイオリンの箱鳴り、弓と弦の擦れる音、これらが相まって、演奏に時空を超越したもの=宇宙的ななにか、を感じるのである。
ドレスデン・ルカ教会に響き渡る、空間をそのままパッケージしたような録音も大変素晴らしい。
別ジャンルの例えで恐縮だが、ピンク・フロイドの「狂気」やシガー・ロスの一連の作品を夜に聴き、浮遊感に身を任せるのが好きな私のような方であれば、毛色は違うが同じような感覚をこのアルバムからも得られるであろう。
なお、この発売元の「Berlin Classics」は廉価盤CDの代表格として有名なドイツのレーベルだそうだ。覚えておこうと思う。
ローリング・ストーンズ / ハックニー・ダイアモンドThe Rolling Stones / Hackney Diamonds
今月一番の話題はやはりこのアルバムだろう。ストーンズ18年ぶりのオリジナルアルバム。
10月20日に発売されるや、SNSを始めとして世界中で大絶賛、喝采の嵐!私も先行シングルの「Angry」をまずはYOUTUBEのワールドプレミアで聞いて狂喜、発売を心待ちにしていた。
いやー、このPVもサイコー。ストーンズっぽいセクシーおねーちゃんと道路際のOOHに次々に現れるストーンズの名シーンたち。高揚せずにはいられないよね。
私はディスクユニオンで発売決定と同時に輸入盤LPを予約。発売日から2日ほど過ぎて自宅に届いた。いまさらだが、この2日間待つくらいなら店舗に受け取りにいけばよかった。
購入した盤は写真の通り「EU盤」と書いてある。裏面にチェコで製造の旨がシール貼りしてあるのでこの盤はチェコプレス、ということになる。
アルバム通して50分弱、近年のロックアルバムはどうしても一作あたりの時間が長くなりがちだが、この作品はきっちりLP1枚に収まるサイズ。そしてどの曲もストーンズらしさが溢れている。
さて、曲目ごとの解説は他に譲りたい。たくさんのストーンズファンが、このアルバムを絶賛しているし、多くの情報がネットで溢れている。そんななかで私ができることといえばやはり、このアルバムのレコードとサブスクの聴き比べであろう。それは別途実施し掲載したいと思う。
しかしたくさんのフォーマットで発売されすぎて、どれから手を付けていいのかわからん…ってのも正直ある(笑)
今回収録の楽曲で私が一番気に入ったのはやはりラストソング。ミックとキースによるマディ・ウォーターズのカバーにしてバンド名の由来となった一曲「Rolling Stone Blues」だ。
「俺たち、何も変わっちゃいないよな、チャーリー?」と、亡くなった盟友チャーリーに語りかけている、なんて妄想をしてしまいたくなる。ローファイなギターのサウンド、ミックのハープ。ドラムレスならでは、のテンポのゆらぎを活かしながら二人で紡ぐ至極のブルーズ。素晴らしい一曲だ。
まとめ
いかがだっただろうか。最新のものがストーンズしかなくて恐縮だが…事実そんなに最新の音楽を追いかけているわけではないのでご容赦願いたい。
今回ご紹介したアルバムはどれも音質的に大変素晴らしい、いわゆる「優秀録音盤」と言って良いものである。機会あればぜひとも物理メディアでお手にとり、ご自宅のオーディオで鳴らしていただければ幸いである。
ご一読ありがとうございました。
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